研修 実践力のあるソーシャルワーカーを育てる「教授法」

※本研修は終了しました。

【全体趣旨】
社会福祉士・精神保健福祉士がソーシャルワーカーとして、今日の複合化・複雑化した課題に、そのソーシャルワーク機能を発揮するためには、養成教育を受ける段階で、より能動的な学習を積み、実践力を高める必要があり、それらを教授する教員たちには、講義形式だけではない様々な教授法の習得・開発が求められている。
昨年度本連盟では、『ソーシャルワーク教育全国研修大会 実践力のあるソーシャルワーカーを養成する「教授法」』と題し、ALを切り口に、一連の研修を行い、また多様な分科会を開催した。
今回は、更にALに焦点を当てて、共通理解を深め、普段の教育実践にも直結する【ワークショップ】とALを促進する組織的(学内外)取り組みに関する【パネルディスカッション】を設定し、ソーシャルワーカー養成教育におけるALの普遍化・実用化を含めて、研修内容を構成したい。

開催スケジュール・参加費


日程:平成30年6月23日(土)・24日(日)

場所:日本ソーシャルワーク教育学校連盟 研修室

参加費:会員校所属の方 15,000円 / 非会員の方 20,000円

 >>開催ちらし  

申込について


web上の申込フォームにアクセスし、必要事項を入力してお申し込みください。
申込期限:6月8日(金)
振込期限:6月8日(金)

※振込先は、申込完了後に届く自動返信メールに記載しております。


プログラム

1日目:6月23日(土)

9:30 会場・受付開始
9:50〜10:00 開会挨拶

10:00〜17:00 【ワークショップ】
テーマ「授業設計ワークショップ〜アクティブラーニングの基本的考え方・半期の授業設計・1コマの授業設計〜」
講師:榊原 暢久 先生(芝浦工業大学 教育イノベーション推進センター FD・SD推進部門 部門長、工学部教授)

趣旨:高等教育開発を専門とする講師をお招きし、アクティブラーニングの基本的考え方、半期(1 科目16 コマ)の授業設計、1コマの授業設計について、グループワークにて展開する。アクティブラーニングの基本的考え方・位置づけを確認し、その意義と手法を学び、具体的な授業設計までアクティブに学びを深めて頂きたい。

*内容

セッション1;アクティブラーニングの基本的考え方

アクティブラーニングという言葉は頻繁に用いられており、その重要性が強調されているが、その考え方が正しく理解されているとはいいがたい状況も散見される。本セッションではアクティブラーニングの基本的考え方・位置づけを確認し、その意義と手法を学ぶ。

セッション2;半期(1科目16コマ)の授業設計

資格課程では、講義科目においてどのようにアクティブラーニングを導入するかが課題となる。本セッションでは、資格課程の講義科目(半期科目を想定)を取り上げ、その半期分の授業をどのように設計するかを実践的に学ぶ。

セッション3;1コマの授業設計

本セッションでは、セッション2で取り上げた講義科目(半期分)のうち、1コマの授業内容を取り上げ、その1コマについてアクティブラーニングを活用した授業の展開をどのように設計するかを実践的に学ぶ。

*参加者へのお願い
本ワークショップでは、社会福祉士/精神保健福祉士課程(指定科目)の「講義科目」(演習・実習は除く)を素材として行います。受講に際して以下のご用意をお願いします。

  1. ご自身が担当されている講義科目(1科目)のシラバスをご持参ください。
  2. 講義科目を担当されていない方は、ご自身の専門分野に近い講義科目のシラバス例(勤務校の該当科目のシラバス、その他の公開されている該当科目のシラバス、厚生労働省の示す教育内容をもとに作成したシラバス案など)を持参ください。
  3. 取り上げる講義科目は、今回のワークショップの趣旨からアクティブラーニングの導入が難しいと思われる科目(多くの知識の習得が求められる科目など)を選ばれることをお勧めします。 

2日目:624日(日)
9:30〜12:30 
パネルディスカッション
「No Active No Learning 〜アクティブなソーシャルワーク教育を展開・定着させるために〜」

趣旨:実践力のあるSWを養成するには、多くの知識の習得を要する講義科目におけるALが求められるが、それは一科目・一教員の取り組みで完結するものではない。養成課程において効果的にALを展開するには、ALに適した教材開発や授業時間外での学修支援、科目間連携や「講義−演習−実習」をつなぐ共通の指標づくりなど、多角的な取り組みが必要になってくる。
本パネルディスカッションでは、ALを促進する組織的(学内外)取り組みについて、登壇者からご発題いただく。さらにフロアとのディスカッションを通して、アクティブなSW教育を展開・定着させるために必要なこと、できることを共に考える機会としたい。

司会・話題提供:岩本操(武蔵野大学)
話題提供:野村裕美(同志社大学)、伊藤新一郎(北星学園大学)

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13:20〜16:20 【大学院FD研修】特別企画
 以下企画をオムニバス形式で実施します。

「福祉系大学院カリキュラムガイドラインの取り組み状況と今後の展望〜より良い大学院教育を目ざす全国各大学院の創意工夫〜」

 趣旨:ソ教連大学院委員会では、旧学校連盟が昨年3月にまとめた「福祉系大学院におけるカリキュラムと教育システムのガイドライン」を踏まえて、全国の福祉系大学院が取り組み得る教育カリキュラム・教育システムのあり方の指針(簡易版)をまとめた。委員会では、それを踏まえて昨年11月からソ教連加盟福祉系大学院のある全国110校に、ガイドラインの取り組みに関する「現状と意見アンケート」を実施し、67校(回収率61%)の回収を得た。このセッションでは、調査結果の概要(第一報)をお示しすると共に、魅力ある取り組みを行い、成果を上げている好事例を共有し、それら取り組みに関係されている方々にもご参加頂き、福祉系大学院の今後の展開・展望を参加者の皆さんと共に議論したい。
         (報告者:大学院委員会・日本社会事業大学 大島巌)

「博士論文作成に伴う二重投稿に関する課題についての情報提供」
                  (報告者:桜美林大学・杉澤秀博)

「わたしの大学院での論文指導法〜二木ゼミナール編〜」
 趣旨(講師メッセージ):私は日本福祉大学に在職した33年間(1985〜2017年度)のほとんどで大学院教育を担当し、院生の研究論文(修論・博論)指導を行いました。その際、もっとも重視したのは研究計画書・論文草稿の徹底的な「添削指導」でした。
 報告では、そのノウハウを拙著『福祉教育はいかにあるべきか』(勁草書房,2013)の第2章「研究論文指導はいかにあるべきか」をベースにしつつ、同書出版後に指導した院生等の意見も踏まえて、具体的に紹介します。添削済みの研究計画書等も配布します。最後に、私からみた3つの「悪い研究指導・『誤教育』」や良い教師の3条件について、問題提起します。
(報告者:大学院委員会・副会長・日本福祉大学名誉教授 二木立)

★大学院FD研修のみの参加申込が可能になりました!★
【特別企画:大学院FD研修】
日時:2018年6月24日(日)13:20〜16:20
場所:日本ソーシャルワーク教育学校連盟 研修室
参加費:会員校所属の方 5,000円 / 非会員の方 10,000円

【申込期限】
2018年6月8日(金)迄

【参加費の最終振込期限】
2018年6月8日(金)

【大学院FD研修のみ申込フォーム】
申込フォームはこちら

〈 注 意 〉
◯大学院FD研修のフォームに入力をしても、6月23日、24日午前中に開催される研修「実践力のあるソーシャルワーカーを育てる教授法」には参加できません。
◯研修「実践力のあるソーシャルワーカーを育てる教授法」に申込された方は、大学院FD研修に参加できます。

「実践力のあるソーシャルワーカーを養成するための教授法」研修の背景

 社会福祉士の養成教育においては、2018年3月27日に社会保障審議会(福祉部会福祉人材確保専門委員会)の報告書「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」内の実践的なカリキュラムの見直しにおいて、「アクティブラーニングの教育方法の活用」が提示された。またの同報告書では、「専門的援助技術を総合的かつ実践的に習得するためには、講義で学習したその理論や知識について、演習を通じて活用方法等を実践的に習得し、実習において利用者の状況に合わせた知識・技術の適切な活用や実践上の課題の発見につなげるなど、「講義−演習−実習」の学習の循環環を作り、確実にソーシャルワーク専門職である社会福祉士に必要な実践力を習得できるようにしていくべき」との指摘も記載されている。これからの課題は、精神保健福祉士養成においても、同様といえよう。

 アクティブラーニング(以下、AL)について、大学教育のおいては、 2012年8月に文部科学省・中央教育審議会が「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて〜生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ〜(答申)」を取りまとめ、学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(AL)への転換を示した。大学においては、一方的な講義だけではなく、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法を教員が推進していくことになり、日本私立学校振興・共済事業団の調査では、私立大学(学部単位)の66%がALに取り組んでいると回答している。(平成29年度版『私立大学・短期大学教育の現状』)

 また2015年12月の文部科学省・中央教育審議会「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について 〜学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて〜(答申)」では、公教育を担う教員全体に対して、「アクティブ・ラーニングの視点から学習・指導方法を改善していくために必要な力」の必要性が示されている。また同答申では、「新しい時代に求められる資質能力を育成する上では,研修そのものの在り方や手法も見直しが必要であり,例えば,講義形式の研修からより主体的・協働的な学びの要素を含んだ,いわば AL 研修(アクティブ・ラーニング型研修)ともいうべき研修への転換を図っていくことが重要である」ことも示されており、教育が目指す全体像及び教員の養成に、ALが位置づいてきている。
 
 ALの全体的な取り組みが進み、必要性が求められている状況下においても、大学教員のFDへの参加率は依然として低い状況(教員全員が参加した大学は約13%、4分の3以上の教員が参加した大学は約43%)であり、ALを推進するためのワークショップまたは授業検討会を実施した大学は約42%と半数に満たない。(文部科学省「大学における教育内容等の改革状況について(平成27年度)」)

 またソーシャルワーカー養成教育を焦点にすれば、各大学のFDの取り組みは、全学を通じた内容・構成あり、ソーシャルワーカー養成教育に特化した研修内容とはなっていない現状がある。


参考リンク 
ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について(厚生労働省)

新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて〜生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ〜(答申)(文部科学省)

これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について 〜学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて〜 (答申)(中教審第184号)(文部科学省)

大学における教育内容等の改革状況について(平成27年度)(文部科学省)

平成29年度版『私立大学・短期大学教育の現状』(日本私立学校振興・共済事業団)